民主党政権が守れなかった主な公約一覧(2009年マニフェストより)
① ガソリン税の「暫定税率」廃止
- 公約内容:ガソリン税の上乗せ分(暫定税率)を廃止し、ガソリン価格を引き下げる。
- 結果:財源確保が困難となり、廃止せず継続。逆に実質的な「増税」と批判された。
② 高速道路の無料化
- 公約内容:段階的に全国の高速道路を無料化する。
- 結果:実施は一部(社会実験程度)にとどまり、大半の高速道路は有料のまま。2011年には方針撤回。
③ 子ども手当「月2万6千円の満額支給」
- 公約内容:高校までの子どもに月2万6千円を支給。
- 結果:実際は月1万3千円程度にとどまり、所得制限も導入。2012年には「児童手当」に戻される。
④ 農家への「戸別所得補償制度」導入
- 公約内容:すべての農家に所得補償を行う。
- 結果:一部実施されたが、コスト高・効果不明として2013年に自民党政権下で廃止。
⑤ 公務員の人件費を2割削減
- 公約内容:国家公務員の人件費を約2割カット。
- 結果:実現せず、むしろ人件費総額は微減〜横ばい。官僚組織との調整難航。
⑥ 天下りの全面禁止
- 公約内容:官僚の天下りを禁止する。
- 結果:一部制限はされたが、抜け道が多く事実上形骸化。政治主導の失敗例とされた。
⑦ 年金制度の一元化と「最低保障年金制度」創設
- 公約内容:すべての年金制度を一元化し、最低保障年金(月7万円程度)を導入。
- 結果:議論はされたが、制度設計が困難で実現に至らず。国民年金・厚生年金の分離は続いた。
⑧ 財源は「無駄を削れば捻出できる」
- 公約内容:「埋蔵金」や行政の無駄削減によって16.8兆円の財源を確保。
- 結果:期待されたほどの財源は出ず、消費税増税(税と社会保障の一体改革)へ方針転換。
⑨ 消費税は「4年間は上げない」
- 公約内容:任期中(2013年まで)は消費税を上げない。
- 結果:2012年に自民党・公明党と合意し、「消費税10%引き上げ法案」を成立させた(実施はその後の政権で)。
⑩ 「政治主導」の実現
- 公約内容:官僚ではなく政治家が主導する体制への転換。
- 結果:官僚の抵抗・政治家の経験不足により、混乱と停滞が多発。「脱官僚」から「依存官僚」へ逆戻りとの批判。
総評
民主党は当時「国民の生活が第一」と掲げましたが、財源不足・政権運営能力の未熟さ・内部対立・東日本大震災などの複合的要因によって、多くの公約が破綻・未達成に終わりました。この結果、国民の政治不信とともに、マニフェスト政治自体への懐疑を生むことになりました。
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